高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

喜び

 金曜日。やっとこさスピッツの新譜を聴くなどした。

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 正確には既にサブスクのほうで楽曲は聴き込んでいるけれども、やっぱりブツとして届くと「音楽を買った」という実感がする。平成生まれとしての価値観をどこまで保持して生きられるかは謎だが現時点ではそうだ。

 出勤前に夫氏が夜勤から帰ってきて、開口一番にアルバムの感想をつらつらと語り出した。どうも、バンドメンバーの「またバンドで集まって演奏できるよろこび」が炸裂していて感動したという内容だった。スピッツも他のミュージシャンと同様に、コロナ禍の影響を受けて思うように音楽活動を出来ておらず、メンバーも客数を間引いた公演のたびにその口惜しさに言及していた。新譜の歌詞には、久々に従来のバンド活動ができることへの喜びが滲み出るような歌詞が多く見られたし、インタビューでもそのようなことを述べていた。

 コロナ禍中もいろいろなミュージシャンの公演に行ったが、誰もがMCで思うように活動が出来ない苦しさ・悔しさや、公演中止により仕事がキャンセルされるスタッフへの心配、来れなくなったファンへの申し訳なさ、間引き公演に来ること・来ないことを選んだファンそれぞれの選択の尊重などについて発言していた。おそらく、たくさんの人が集まり、またはたくさんの人を集めてやることに意義がある仕事やイベント全てにとって辛く過酷なものなのだと悟った。

 ライブはその場は足を運んで音楽を聴くことに意義のある体験型のイベントだから、配信ライブを嬉しいと思うことはあってと、配信ライブがあれば実地のライブは不要と思う人は(少なくとも音楽好きの中には)いないんじゃないかと思う。ミュージシャン側なら尚更。ようやく苦しい時期が一つの区切りを迎え、これから再びこれまでの活動を取り戻していこうというエネルギーに満ちたアルバムだった。

 夫は私より随分口数が少なく、夫婦の会話は1:9くらいの割合なので、夫氏のほうからペラペラと感想が出てくるのは稀なことだ。よほど感動したらしく、ゴリ押してスピッツにハマらせた身としてはとても誇らしい。

(埴輪モチーフのロボットかわいい。)