高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

正月延長中

  水曜日

 世間的には仕事始め。いい感じの朝焼けが人々の勤労の始まりを讃えているかのよう。そんなふうにされても嫌なものは嫌だ。社会復帰なんて嫌だ。私は有休消化のためまだ休みは続きますが、今から仕事始めがおそろしい。

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 電車が空いている昼前に名古屋駅へ。同居人の誕生日プレゼントを買いに行く。同居人は私より収入があるはずだし、おそらく本当に欲しいものは自分で買えるはずだ。プレゼントの極意は、その人が興味こそあれど買うには至らない何かを贈ることらしい。その塩梅が、歳をかさねるたびに難しくなってくる。
 同居人はいい匂いのするものが基本的には好きそうだが、香水の類は持っていなかった。おそらく「買うほどではない」に該当するのだと思う。香水はちょっと興味あるから買うにしては高価だ。ウッディな香りが好きだから、BAUMかAesopか悩んでBAUMのコロンにした。以前にスキンケア用品の匂いがいいと感動していたことを思い出したからだ。シンプルに森の香りがするし、男性の支持もあるからイケるはずだ。


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 無事に喜んでもらえてよかった。むしろ私が欲しい。自分で買うとなると後回しにしがちな金額だと思う。買い物上手になりたい。

 

  木曜日

  私は今日も休み。昨日買ったチェンソーマンの最新刊と大白小蟹『うみべのストーブ』を読んで目を覚ました。チェンソーマンが面白いことは言うまでもないが、『うみべのストーブ』がたいへん好みだった。短編の終わりに短歌が記されているが、漫画も短歌のように、物語になり切る前の断片のようなものを変に加工せずに描いたようなもので、その自然な感じがとてもよかった。すっきり終わらない話もあるのがとても誠実な気がした。

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 午前のうちにスーパーへ買い出しに行く。同居人から誕生日祝いとして「おでんが食べたい」と言われていた。同居人は365日おでんを食べてもいいくらいおでんが大好きな人だ。
 年始すぐが誕生日の人を祝うのは難しい。帰省中にお祝いもかねて大体の豪華なご飯は食べているからだ。豪華なものを食べて胃もたれしているところに私が追い討ちをかけるわけにもいかない。だからリクエストをいただくことにしているが、今年はおでんだった。

 おでん。それは修羅の道。あいつはいかにも雑に煮ましたみたいな雰囲気を醸しているくせに下準備が異様にめんどくさい。特に大根と牛串。面倒すぎる。こんなのお店だからできるのであって、一般家庭でもこれをやれなんて酷すぎる。いつから家庭料理にそこまで求められるようになったのか。出来合いのおでんパックを買おうとも思ったけれど、スーパーで値段を見たときに、時間かかっても自分で作った方が早いな、と思ってしまった。タイムイズマネーだ。

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 なんだかんだで喜んでほしくて地道にやってしまう自分も難儀だなと思ってしまう。出来合いで楽してもよかったのに。結局、私の料理のモチベーションは他人だから、人にリクエストされたらいくらでも作れるのだ。自分一人のためだと、全然手の込んだものを作りたいと思わない。折角の休みであることを担保に、昼過ぎには仕込みを終えた。あとは温めるだけだ。

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 時間をかけて作ったおでんは、同居人があっという間に平らげてくれた。何を作って出してもおいしいおいしいと言って食べてくれるから作りがいがあった。楽しみは一瞬。遊園地の人気アトラクションみたいだ。この瞬間が楽しくて私はずっと下準備をしていたのだから、これでいいのだと思う。