高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

続・なりたい人になりたい

 火曜日。夕方に実家を出て、近所に住む中学時代の友人の車に乗せてもらい市街地へ向かった。今夜は中学時代に仲の良かったみんなで飲み会だ。私が中学時代は美術部で好きなお絵描きをして陰気に楽しく過ごしていた。その部活同期の集まりだ。残念ながら1名のみ予定が合わなかったが、それ以外の5名が奇跡的に揃った。変動シフトの仕事をしている人もいるから、今では全員フルメンバーで集まることは難しくなった。

 今日は、いろいろあって離婚をし地元に戻ってきた友人(Aとする)を慰労するのが主な目的だ。概略としては、友人Aは結婚後、夫が実家の家業である生花店を継ぐことになり、自分の意思で退職して夫に着いていった。その後、休みなく働かされ賃金はほとんどなく、夫は実家に甘えて仕事をしなくなり、義両親の介入は止まず、友人Aは搾取され尽くした結果、疲れ果てて精神的に不安定になり、離婚に至ったのだ。詳しい話は、過去にブログに書いている。

離婚するときは相当な泥沼だったらしく、友人Aの両親も介入しての熾烈な争いだったらしい。友人Aは、両親(特に父)と折り合いが悪かった。それでも間に入ったということはよほど問題が拗れたのだろう。離婚後も、友人Aの転職を阻止するために源泉徴収票を渡さないなど、争いは尾を引いたとのことだ。

 予約していた店に行き、全員集まるまで時間は掛からなかった。みな時間を守るタイプの人たちだ。律儀で中学時代から変わらない。適当な酒を頼んで乾杯。店はQRコードを読み取ってスマホで注文でき、会計の際はテーブルごとに合算される仕様で使い勝手がよかった。みな今更遠慮もないから思い思いに食べ物を頼んでいった。

 みな友人Aを心配していたが、友人Aはかなり吹っ切れたようすだったから心底安心した。前会った時は食事が喉を通らないみたいだったが、今日はガツガツ食べていた。離婚してからはひとまず実家へ戻り、すぐさま転職活動をして就職も決めた。今はバリバリ働いている。元々が仕事大好き人間だから、生き生きしている。ある程度貯金が貯まったら一人暮らしを始める予定らしい。それと並行して婚活も始めたらしく、次は絶対に妥協せずに納得のいく結婚をするのだと息巻いていた。とりあえず婚活アプリから始めるらしく、今後の方針を諸葛亮孔明のごとく語っていた。策士だ。酒が回ってくると「写真撮って〜!アプリに使うやつ。他撮り写真大事だから〜」とひたすら撮影を懇願していた。もう前しか見ていなくて最高にクールだった。引きずらずに次へ行く切り替えの速さ、見習いたい。

 友人Aからは婚活アプリのコツを聞かれた。私はアプリで同居人と出会ったが、成功事例1なのに何もアドバイスできない。でも友人Aも他のみんなも複雑で過激で厄介なオタクだから「同じ趣味の人を探すより、趣味に時間をかけたり散財したりすることに理解のある人を探すといいよ」と言っておいた。我ながら真理だと思う。同じものを推していると、推し方で揉めたりするから怖いから。

 その後はなぜか昔の恋バナの話題になり、とはいっても私たち美術部員に青春なんてなかったから、周りの人たちの恋バナを掘り起こすゲスいゴシップみたいな時間になった。今となってはわかることがたくさんあり、あの子とあの子が二股されてたとか、あの人は取り合いだったとか、どうでもいいことで死ぬほど笑った。お互いが知っている情報に相違があり、時系列で整理していたら別の事実が分かったりして腹が痛かった。お酒が入っているからなのか、これまで私が息苦しい実家にいた反動なのか、生産性のまったくない話でゲラゲラ笑えるのが可笑しくて嬉しかった。
 同い年の人と話しているのに、今後の人生の話や、保険や貯金の話や、がん検診の話にならないことがうれしい。ここだけはずっと中学のままで止まったみたいになれる。何も考えずに、くだらないことで何時間も話せるような機会が減ってきているから余計に輝かしかった。

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(婚活用に撮影した友人Aの写真。これで婚活は無理だろ)

 飲み会が終わり名古屋の自宅に戻る。同居人も帰宅していて、お互いの帰省疲れを労った。私は精神的な疲れで、同居人は単純に長時間運転したことの疲れだ。新年の挨拶をして、お年玉をちょうだいと茶々を入れてあしらわれたりして、早々に眠った。