高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

信頼と実績

 水曜日。勤労感謝の日。今日は友人の結婚式に行くのだけど、雨女な友人らしくピンポイントで豪雨だ。信頼と実績。昨日までこんなに天気が良かったのに。明日も晴れるらしいから、ここまでドンピシャで雨を呼べるってすごいなと思う。オカルトの類は信じていないが、不思議と友人の出かける先は雨が多い。

 参列者の受付を依頼されていたから、他の参列者より早めに会場へ向かわねばならない。自堕落だから準備がバタバタだった。どうせ髪が短くてできるアレンジも少ないというのを言い訳に、ワックスでボブをぺったり固めて完成させた。前髪を7:3に分けて適当にヘアピンつければ何とかなると思っている節がある。
 着ていくドレス、初めてネットレンタルで調達してみた。ずっと試してみたかったのだ。一生のうちに限られた回数しか着ないのに、いくつか所有してクリーニングに出して管理するのは大変じゃないかと長年思っていた。入用の時だけレンタル出来たら楽だ。自分では到底手が出ないmame kurogouchiのワンピースを借りた。定価だと10万超えという恐ろしさ。服というより資産だ。ベルトが無くてもウエストのところがキュッとなってシルエット詐欺をできるのすごい。こういうワンピースって寸胴着ぶくれデザインが多いからね。ほんとに。ポッケもついてるの地味にうれしい。

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 私は骨格ストレートという生まれながらの業を抱えて生きているんだけど、結婚式のドレスは骨ストは事故率が高いから、こういうデザインのやつ増えてほしい。選択肢が、欲しいんですよ。適当なの着るともれなく圧倒的着ぶくれ、肩幅ガンダム屈強な女になるから。集合写真で死んでしまうから。(結局、華奢な友人と並んで写真撮ったら、圧倒的な骨格の差を思い知らされるという。mameの曲線美でもごまかせない骨格の強さ。痩せても痩せても手に入らない細さよ)
 ともあれ、レンタルドレス、最高に楽だったから次回も利用しようと思う。着終わったら箱に戻してコンビニに持ち込んでヤマトで着払い発送するだけ。もっと早く利用すればよかったと後悔した。

 タクシーチケットをもらっていたから、自宅前にタクシーを呼んで出発。運転手さん、時間短縮していこうと渋滞を避けてくれるのはうれしいのだけど、住宅地をくねくね進むからひどい車酔いをする。普段は車酔いなどしないから相当な運転なんだろうと思う。結果的に予定価格より千円以上安い運賃だったけど着いた頃にはふらふらだった。

 早めに到着し、受付の説明をプランナーさんから聞く。どうやら受付の際に参列者に新郎新婦のトリセツ的なメッセージを書いてもらい、それを結婚生活における二人のトリセツ集にするということらしい。私は新婦側の友人として、「絶望的寝起きの悪さにご注意」と書いておいた。これ以上のトリセツはないと自負している。(後で、新郎の共感を得たとして景品をもらえた。)

 友人はとてもユニークで頭がおかしい(褒めている)のだけど、開始早々「ふたりはマッチングアプリで知り合い…」とぶっちゃけナレーションで笑いをどんどんとっていくスタイルだった。気合いがちがう。さらには、どうやら食にこだわった披露宴にしたらしく、前日に「ごはんたくさん出るから昼食抜いてきて!」と言っていた。二人暮らしなのに家族向けの冷蔵庫を二つ所有している夫婦が言うのだから信頼に値する。忠告どおり空腹の状態で来たけど、確かにごはんへのこだわりがすごかった。刺身に伊勢海老に牛に鶏にどんどん出てくる。挙句の果てにはウェディングケーキならぬウェディングマグロがまるまる一匹出てきて、ふたりでマグロに入刀しだした。頭がおかしすぎる。

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 ファーストバイトも互いにマグロの肉塊を食べさせ合うという狂気。マグロはその場で式場の料理長が解体ショー。マグロの解体に対応できる料理長を抱えた式場なんてあるんだ。事前に練習とかしたのかな。会場に立ち込める潮の香り。解体したマグロは刺身とお茶漬けとしてみんなにふるまわれた。あとから聞いた話によると、当初案ではマグロではなくて大きな牛肉の塊でやる予定だったらしい(来賓に牛肉NGの人がいたため実現せず)。頭おかしすぎる。ご祝儀でお金回収できたか心配になった。とんでもねえ場所に来ちまった。

 

 式に参列すると、もし自分が式や披露宴をする場合どうしたいか、というのを考えてしまう。私は両親とあまりいい関係性にないから、お涙頂戴的な、エモーショナルな場面を極力排除したものにしたいな、と思う。みんな私と両親の感動話なんて正直どうでもいいだろうし、私も人前で披露できる感情なんてない。感謝の手紙も読みたくない。親しい人に集まってもらって、おいしいごはんとお酒飲んでわいわい喋って、帰ってもらえればそれでいい。「新婦は今日からは親元を離れ、門出を迎え、新郎と新たな家庭を…」的なエモーショナルな司会もいらない。粛々とあっさり終えたい。何なら、式も披露宴もいらないとさえ思っている。ドレスを着たいという願望もない。二人で記念写真を残すくらいでいい。
 人のに参加するのは楽しいし感慨深いんだけどね。冷たい人間なのかもしれない。自分事となるとまた別だ。そんなことを考えながらふわふわした気持ちで帰った。

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