高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

連れ出してくれるタイプの人

 土曜日。雨で少し肌寒い。人間はどんよりしてしまうが、ベランダの植物たちは生き生きしている。ユーカリから新芽がたくさん出ていた。柔らかい枝が細かく生えている。この一本一本が夏ごろには爆発するように成長するのだ。去年の夏は毎年のように枝を剪定していた記憶。また夏が来るのだろうか。

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 朝から出かける。最近、時間を見つけては同居人とリゾートウエディングの相談会とかに足を運んでいる。私たちは挙式も披露宴も行うつもりはさらさらなく、何なら新婚旅行も要らないと思っているのにだ。挙式・披露宴に関しては、自分たちには高価すぎるし、シルクドソレイユのS席チケットみたいな金額をご祝儀として参列者にもらっておいて、それに見合う時間を提供できる自信がない。新婚旅行も、別にいつでも行けるのだし、金銭的に余裕があるときにでも、と思っている。
 ところが、どうやら同居人の今の職場が理解のある人たちのようで、「せっかく取れるんだから結婚にかこつけて休暇を取ったほうがいい」と言ってくれているようだ。同居人は私よりも休みの取りにくい業種であるから、普段は長い連休を取ることなんてむずかしい。でも今の同居人の状況なら、お盆とか年末年始に休みをくっつけて大きな連休にできるかもしれない。

 同居人にとっては長期連休を取れる千載一遇のチャンスだから、当初は旅行も何も考えていなかったのに俄然その気になってきたようだ。お盆なら北海道、年末年始なら沖縄だよね、と言い出したのは1週間ほどまえのことだ。10連休くらい休みを取って、長期滞在しよう。北海道も沖縄も捨てがたいけれど、ごはんの味が好きなのは北海道だから、北海道にしよう。どうせならリゾート地で衣装着て写真撮るなりすれば、いい記念になるし一石二鳥じゃない。こうして何となくお盆に北海道に行くことが決まりつつある。

 なんだか丸め込まれている気がするが、私は私で、長期連休があっても持て余してしまうくらい出不精だから、こうして連れ出してもらえることが救いにもなっている。直前までどこに行こうかうだうだ考えて、結局普段の生活圏内から出ずに連休を溶かしてしまうことも多い。それに、あまりいいことではないけれど、私は究極的には「なんでもいい」の人だ。誘われたらどこへでも行くけれど、自分ではなかなか動けない性分だと思っている。深刻なケチだし。
 そんな人間だから、なかば強引に誘って、決めてくれるような人がいるとすごくありがたい。私の人生にはそういう人が身近に必ずいて、多大な助けを得ていたわけだけれど、同居人はそのタイプの人だ。楽天的な性格だから、なんでも気軽に「行こうよ」と言ってくれる。今回も連れ出してもらった形。ありがたいことだ。いつも助かっています。あとは私が連休と取れるかどうかですが。

 いろんな相談会へ足を運んでいると、本当にいろんなプランがあるんだなと感心しながら話を聞いていた。割引プランの併用が複雑すぎて、携帯ショップで話を聞いているときより目が回りそうだ。最近はリゾート地や地方の教会で二人だけでひっそり式を挙げる人も増えているようで、そういった簡素なプランもあるようだった。現地のスタジオで衣装着て写真撮ってもらうより、二人で式を挙げてその間に写真撮ってもらった方が通過儀礼感も出るし、連休中に式を予定すれば同居人も休暇取得の理由になるだろう。観光地のホテルは割引になるし、なんだかんだ簡素な金額になるだろうか、でも出し惜しみするところではないよな、とぐるぐる考えてしまった。そもそもがお金さえ出せばなんでも出来てしまう分野だから、あまりに選択肢がありすぎて判断に時間を要してしまう。

 パンフレットとか参考資料を本当にたくさんもらえるんだけど、どれもびっくりするほど高級な作りをしていて驚かされる。普段仕事で発注かけているとある程度の価格帯が分かるから、パンフレットが上製本だったりすると心底驚いてしまう。式場見学へ行っても、アマゾンのギフトカードがもらえたり、高級フレンチの試食が出来たり。自分のところで契約してもらうための宣伝・広報費用が巨額すぎて本当に驚いてしまう。巨額を費やす価値があるから、こういう商戦になっているのだろうか。
 こんなにもらって、食べさせてもらって、親切に教えてもらっているのにまだいろいろ決めかねている。同居人は私の好きに決めたらいい、と言ってくれているが、私にそこまでお金をかける価値があるとは思えないし、結婚という事実自体もただの通過点だからそんなにお金をかけなくても、と思ってしまう。

 私は北海道でおいしいものたくさん食べられればそれでいいのだけど。まあ無いといっても時間はあるから、納得いくまで悩んでみます。悩めるというのは選択の自由があるということですね。

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(驚異のハードカバー。水の教会は人気だよね)