日曜日。今日は職場の先輩であるSさんとランチを食べることになっている。私が肉が食べたいと言って、名古屋・栄駅付近の気になっているお店を予約しておいた。
Sさんは中国人で、大学・大学院時代を日本で過ごし、そのまま日本で働いている。噂によるとSさんの実家はとんでもない桁違いの資産家で、彼女は働かなくても生きていけるくらいの家柄。それでもSさんが帰国しないのは、私には想像できない理由と決意があるのだろうと思う。Sさん当人はつつましく暮らしている人で、ごくごく普通の、日本の暮らしに溶け込んでいる外国人だ。
私はSさんと同じ部署で働いたこともないけれど、なにかと接点があって仲良くしてもらっている。
選んだお店は、選べるミニ丼ランチが人気。複数種類あるミニ丼から好きな2つ以上を選ぶことできるのだ。丼を増やせば料金が加算される。明瞭なシステム。私はローストビーフ丼とヒレカットステーキ丼にした。見た目からして、わんぱくなご飯。美味しく食べた。わんぱくって、本当にわんぱくな響きがあって好きだ。
Sさんは私よりも何歳か年上で最近、職場で係長になった。彼女は、自分より仕事ができないやつの下でコキ使われるくらいなら自分が係長になってやる!という負けん気の強い人で、職場の要請に従い登用試験を受けた。Sさんは外国人採用枠で就職したわけではなく、その他大勢の日本人と同じ選考を受けていて、外国人として職場で私たちと渡り合っている。そのことについて、心から尊敬の念を覚えている。自分が外国でそれを出来るだろうかと思うと、身震いをする心地だ。
とはいえ、やはり係長というのは大変で、かなりストレスが溜まっているようだ。信じられない業務量による疲れ、慣れない仕事が思うように出来ないストレスに加え、自分が外国人であること起因する居心地の悪さもあるよう(例えば、Sさんに直接言っても分からないと思われ稟議を無断で飛ばされるなど)。そう、今日はSさんの愚痴を聞く日でもある。
世間で共有されている中国人のイメージは色々あるけれど、近年は悪いイメージを持つ人が多いと思う。日本/中国で物事を判断するのもアレだが、Sさんはかなり日本人的なイメージに近い人だ。ものすごく勤勉で、常識的な考え方を持ち合わせているし、下手すると勤勉だとされる日本人よりも真面目で几帳面。一切手を抜かずに仕事をする。(そういうところの気が合うから、私とSさんは仲良くいられるのだと思う。)
それなのに、「外国人だから分からないだろう」で自分抜きで話をされたり、頼ってもらえないのは悲しいし、想像すると怒りが湧いてくる。私は、下手な同僚よりもSさんの方が頼りになるし、信用に足る。きちんと仕事をしているし、外国人であるかどうかの関係なしにそう思うのに。
最後に、「なんでみんな平和に働きたいと思っているはずなのに、こんなストレスフルな社会になってしまうんだろう」という嘆きの話になった。本当にそれである。働くって難しい。