高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

守銭奴的盆

 日曜日。長めの盆休みは終わり、来週からフル出勤になる。明日からの労働を考えると辛いから努めて何も考えないことにする。先のことに過度にくよくよしすぎるのは良くない。そうわかっていても、「努めて」考えないようにしなくてはいけないこと自体が、私がネガティブで何事にもくよくよすることの証左だ。多様性が大切とは言うけれど、私はわたしのネガティブをまだまだ受け入れがたい。あっさりと生きられる人が心底うらやましい。目前にある小さなストレスが不安で仕方ない。自分にとって都合の悪い、許せないものもすべて包み込んで認めてやるのが多様性なのだ。なのに、ポケモンみたいにアイテム使って性格を矯正出来たらいいのにな、とか思ってしまう。。(そう思うとポケモンって残酷なことしている。好きだけど。)とにかくも、今日くらいは頭を空っぽにして過ごしたかった。

 同居人は結構楽天的な性格で、仕事などの嫌なことも寝ると忘れてしまうらしい。負の感情を引き摺らないあっさりとした思考癖の持ち主。私とは正反対でひどく羨ましく思う。今日は昨日出先で見つけて衝動買いしたらしいオベサ(多肉植物)の魅力をこんこんと説かれながらコーヒーを飲んだ。私と同様に倹約家で、好きなものを買うときにもかなり悩んでから買う人なのにこんな高価なものをほいっと買ってくるあたり、この植物に相当入れ込んでいるらしかった。

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 今回買ってきた二つともにオベサというユーフォルビア属の一種。特に左のものは、枯れているのではなく「木質化」した個体で、これでもちゃんと生きており、多肉植物のごく自然な老化現象だ。長く生きている個体は木のように変質して硬くなる。この渋さに一目惚れしたらしかった(値段は訊かないことにした)。でも今年のお盆はほとんど散財していないから、これくらいの出費はいいのだと同居人は言う。これで我が家にあるオベサは9つ。これからどこまで増えるのか。

 私も私で、今回のお盆は休みがそれなりに取れたわりにほとんど外出せず、買い物もしなかった。コロナ的なこともあり、単純に命を脅かす暑さだったこともあり、インドアであることもあり、自宅でのんびり過ごしていたら休みが早くも終わろうとしている。先日同居人と掛川にいったくらいだ。それ以外は至っていつも通り、自宅で本を読んだり、勉強したり、絵を描いたりしていた。友人たちもなんだかんだみんな異なる業種で勤めていて休みはまともに被らないし、みな各自の恋人や家族を優先する。大人になるとみんなで集まるにも難しい。

 そういえば私はクレジットカードは8月に入ってから1万円も使っていない。外出することは出費なのだなとつくづく感じる。実際、ただでさえインドア守銭奴なのにコロナ禍に入ってそれまでより外出頻度が低くなってからは驚くほど順調に貯金が増えた。それは喜ばしいことであるし、貯金が増えるのは安心する。外出が減れば減るほど、あんなに遠出が好きだったのに、自分にはさして旅行など必要ないようにも思えてくる。生活は安定して余裕が生まれたけれど、スマホの写真アプリには部屋と食事と植物の写真ばかりで、単調。次第に味気なくなってくる。豊かさってなんだろう。変化がないとやはり味気ない。

 同居人はそのあたりの散財も上手で、普段は倹約するけれど一目ぼれしたモノや本当に欲しいものにためらわずお金を使う。適度に生活に新たな刺激を取り入れていて、そういう時の散財の瞬発力というか、フットワークの軽さなどは見習うところがあるなと感じた。今年の盆はインドアの鑑みたいな過ごし方になってしまった。たまには一日中ひきこもるのも刺激的だけれど、これが何日も続くと気分が鈍する感じもあるから、来年はもうちょっと刺激のある連休にしたい。来年も連休がもらえるかは分からないが。