日曜日。昨日の雨天と打って変わり、とてもよく晴れており風が吹いている。同時に花粉の猛攻を感じていた。今年は花粉がすさまじい。つねに眼がしょぼしょぼして、徹夜続きの眼精疲労のような重たさがある。
今日は大学時代の友人らとかなりひさびさにお茶をすることになっていた。コロナ禍でまったく会えていない間に友人の一人は出産していた。時の流れを感じる。せっかくだから、ちょっと前に買ったCFCLのいいニットをおろした。CFCLはISSEY MIYAKEの元デザイナーが設立したブランドで、公益性の高い現代生活のための衣服を目指していろいろ頑張っている。ここの服は好きだし、会社としての在り方も好きだからたまに買う。安くはないからたまにしか買えないけれど。
服はただの服というより戦闘服だと、年々感じるようになった。自分が本当にしたい装いを本当に着たい服やアクセサリーで達成できると気分は上がるし不思議と自信がつく。一緒に会う友人がそういう自分らしい格好であってくれるのもうれしいし、「今日の装備、素晴らしいな。隣にいて心強いぞ」となる。この世を生きていくためには自己の確立が大切で、自己表現の強力な武器のひとつがファッションだよなって感じた。限りある予算に縛られて生きているけれど、可能な限り自分の好きなように生きていきたいよなと改めて思うなど。
今日は乳児を抱えた友人の地元まで電車を乗り継いで向かった。愛知県は地味に広く、交通の便が悪いところもある。近隣の市へ向かうのに電車で1時間も2時間もかかったりする。今日はバスと電車で1時間半くらいかけて向かった。さながら小旅行だ。
かなり人気らしいカフェで三人でお茶をした。店内も店の外もグリーンでいっぱいの、園芸好きなら垂涎ものの空間だった。名古屋で暮らしていると、敷地面積の暴力みたいなだだっ広いテナントで好き勝手しているカフェなんて稀だから、こういうのは郊外型店舗の良さだよなって思う。開店20分前に着いたのに行列ができていて、郊外でも勢いのあるお店はすごいなと感じる。
コロナ禍の間に出産をした友人の娘は、会わない間に生後8か月となっていた。旦那さんはコロナになり隔離、友人は妊娠糖尿病になり、切迫になり、緊急で帝王切開になりとなかなか壮絶な時間を過ごしていたようだった。私はコロナ禍で深刻な影響を受けた人間ではないから、そうではない現実を目の当たりにした感じ。きっとコロナで失職したり、大切なイベントが流れてしまったり、私が知識としては知っていても真には知らない現実がたくさんあったのだろうと思うなど。
そんな友人はいま育休中だ。所属する部署で同時期に二人が育休入りしたため、なかなか肩身の狭い思いをしているらしい。夫婦ともに公務員で安定しているはずだが、なかなか経済的には苦しく、二人目を考える余裕もないとのこと。いまの政府の子育て支援にはかなり思うところがあるようで、しきりにバラマキ政策を批判していた。
もう一人の友人は中学校でバリバリ教員をやっている。土日も部活でほとんど休みもなく、平日も帰宅して寝るだけのような生活をずっと続けている人だ。誰かと出会って恋愛しようなんて余裕もなく、目の前の仕事を抱えて生きていくのに必死の様子だった。教員は公務員特例法によりわずかな残業代しか出ず、友人は生活のほとんどすべてを教員生活に捧げながら、その見返りを受けとれない。友人は「やりがい搾取だと思う」と笑っていた。このまま誰かと生きていくことにも活路を見いだせない、だからといって一生この仕事を続けていくヴィジョンが見えない。将来という問題がとにかく重たくのしかかっている様子。ここにもまたしんどい現実があるな、と思った。
こういう話題をしていて、私たちもずいぶん歳を取り、遠くまで来てしまったような途方もない気持ちになる。夜遅くまでだらだらと駄弁っていた学生時代が懐かしくなるけれど、あれから何年経ったのかと指折り数えて恐ろしくなる。自分があまり年齢相応に成熟していないような感じがして気後れしてしまいそうになった。
歳を取ることは避けられないから、せめて有意義に成熟していきたい気持ちと、本当はいつまでもふらふら気楽に過ごしていきたい気持ちがあり、これから自分はどうやって生きていったらいいのだろうかと考えかけていったん止めた。それでも、人生を平均した時にある程度平穏だったと言えるようにするためには、常々ある程度苦しみながら、今後に備えて考え続けなければいけないんだろうな。いまふらふらしすぎると、絶対にいつかしわ寄せが来るってことは分かっていて、それをしてもハッピーになれる保証もない。ハッピーに生きたいのにね。
