高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

なにも生まない?

 日曜日。この週末は土日ともに出勤で、どこかで振替休暇が取れるものの連勤には変わりないため単純に体がしんどい。疲労の蓄積を身をもって感じる。肩こりが私を殺しにかかってくる。
 本日の業務は、何かあった時の待機番みたいなものだった。業務に対応する人員は既にいて、その人たちに何かあって出勤できなくなったり、立て込んで人手が足りなくなった時に駆り出される控え選手みたいなものだ。結局出番はなく午後には帰ることができた。

 今日は高校時代の友人たちとジブリパークに行くことになっていて、多分行けるだろうとふんで参加を表明していた(予想通り昼で帰れてよかった)。といっても全員すでに2回以上ジブリパークには来ているから、ジブリパークに来るのはただの口実のようなもので、みんなで集まって話す機会が欲しいだけなのだった。

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(右から2番目が私。)

 4人のうちひとり(友人Aとする。)はもうすぐ1歳の赤ちゃんがいて、いま育休中だ。5月ごろに仕事に復帰するらしい。友人Aにはいまぼんやり悩みがあるらしく、それを打ち明けられた。3Dプリンタを使えるようになって何かを作り、クリマみたいなもので出店してみたいと言うのだ。
 あまりに唐突なことにA以外の私たち3名は驚く。友人Aにそういった工作的なことが好きなイメージが全く無いからだ。むしろ苦手なイメージさえある。そんな友人Aがなんでいきなりそんなことを言うのか。友人A曰く「なにも生んでいない人間だから、クリエイティブなことをして手に職をつけたい」というのだ。

 友人Aのこの発言はすごく不思議な感じがした。友人Aは何も生んでいないどころか言葉通り、超少子化の現代に子を産み落とした。手に職を、というけれど、友人Aは看護師で日本中どこでも働けるような技能を持っている。それなのになぜそんなに「クリエイティブでないこと」に不安になるのか。
 どうやら友人Aは育休中にSNS等で、同じような育休中の友人知人や、世の中の子育て中のお母さんたちが、仕事以外にも趣味を充実させていて、それらを売って収益化し副業としている人がいっぱいいることを知ったみたいだ。みんな仕事しながら子育てをし、趣味を有意義に利益に還元している。それに対して自分は仕事と育児しかない。趣味の全てが中途半端で、そのことに強い引け目を感じて焦ってしまうらしい。なるほどな、と思った。

 これもいわゆる生存バイアスに近いもので、趣味を副業にするワーママは「趣味を副業にするワーママ」としてSNSで活動することはあっても、そうでないワーママがそれとしてSNSで発信することは少ないと思う。だから引け目を感じる必要なんてないし、実際問題としてそこまで趣味が副業として成り立つワーママの割合は小さいと思う。でもネットをひらけば何かをしている人がたくさんいて、あらゆる趣味や副業の敷居が低くなったからこそ、「なにもしない自分」がそれだけで生産的で無いように思えてしまうのだろうか。
 友人Aは夫に頼らなくても子育てしていけるくらいの稼ぎがあって、職に困らないくらいの資格と経歴があって、今も育児を頑張っていて、もう十分頑張っているのだから、無理してまで新しいことに手を出す必要はないのに。そう思いつつ、状況的に不安になる気持ちもわかるから、みんなで暇を見つけて3Dプリンターの体験教室でも探そうということになった。

 私みたいにブログでも書いたら?と勧めてみたけど、「文章を書くのは苦手だから」と断られてしまった。ぶっとんだ友人Aだからブログ書いたら面白いと思うのにな。そういう友人がたくさんいるんだけど、発信する人は少ない。そういう意味では、こんな大したことないブログでも年単位で続けられるのはある種の適性があってこそなんだろうなと思ったりした。