高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

大阪へ藤井風を聴きに行ってきた

 土曜日。私が藤井風の存在を認識したのは5年前で、まだ藤井風がkazefujiiとしてYouTubeで動画を上げている頃だった。初めて見た動画は、ヤンキーみたいな男性がキーボードで椎名林檎の「丸の内サディスティック」を演奏している動画だった(演奏のみで収録当時の藤井風は歌っていなかった)。ホームビデオで録画したような画質で音質も悪い。時折乱暴にキーボードを叩いて鳴らす音が打楽器としても機能しているような演奏で、藤井風の風貌と映像と演奏が相まって唯一無二の雰囲気を醸し出していた。
 正体不明のFujiiさんを追い出したのはそれからで、いつ有名になってしまうのだろうかと心待ちにしていた。

 同居人と付き合い始めのころ、ちょうど藤井風がメジャーデビューするかしないかの時期だった。同居人にYouTubeで動画を観せて、この人物がいかにすごくて、私がどのようにこの人を追ったのかを熱弁した記憶がある。その時の同居人は「ふーん、こんな人もいるのね」という感じで適当に聞き流していたが、そんな同居人も「さよならベイべ」を聴いて簡単にどハマりした。ハマるまでに少し時間差のある人なのだ。

 これまで機会をことごとく逃してきたもののようやくチケットをゲットし大阪へきた。会場はパナソニックスタジアム。どうやら音楽のコンサート会場となるのは初めてらしい。昼から新幹線に乗って大阪へ向かった。万博記念公演まで新大阪から30分強。アクセス抜群。でもダイヤが少なすぎて帰りのことが心配になった。

 少し早めに着き、せっかくだからと太陽の塔を拝みに行った。太陽の塔、いつも遠くから拝むばかりで訪れたことが一度もなかった。

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 真横から見る塔のうなじがいじらしくて可愛かった。もちろん公園内にも切符を買って入った。ゲートの切符確認があまりに簡易的すぎて大丈夫か?と不安になったのは秘密。太陽の塔って建設当時はめちゃくちゃ大不評だったらしい。今の慕われ方を見ると、評価の当てにならなさを感じる。


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 万博記念公園から途方もなく長い階段を登って降りて会場へ。スタジアム、広い。普段はあまり世間の認知度が高くないミュージシャンのライブに行くことが多いから、人の多さに酔いそうになる。遠くも近くもないアリーナ席で歴史上の高僧のような気高い藤井風を見ていた。デビューしてそんなに時間が経っていないのに、活動歴30年超級のベテランのような安定感だ。歌も上手でピアノも上手で、素晴らしい曲も書けて、恐ろしいほど振る舞いが自然体で、おまけに見てくれまで良くて、世の人が欲しくて欲しくてたまらないものを全て持っている。ここまですごい存在を目の当たりにするともはや嫉妬さえしないのだなと感心した。

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(新曲『Grace』は撮影可だった)

 撮影タイムになるとかろうじてモニターが限界、もはや実体は見えていない。遠い。急激に人気になってしまったんだなあと思う。まだ無名の頃から聴いていた星野源がドームツアーをやった時も同じことを思ったな。でも応援している人たちが食べていけるくらいに売れていることはいいことだと思う。ライブはアンコールもなく、本編だけでグレイテスト・ヒッツ目白押しの神がかった時間だった。

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