高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

年始つれづれ

1月1日

 元旦。昨夜は紅白歌合戦を観たあと健康的に床につき、除夜の鐘を聴きながら寝た。私の部屋は狭い5畳間に2段ベッドと勉強机が詰め込まれた、さながら詰所のような部屋。たまに実家に帰ってきてこの部屋で眠るたびに、私がはやくここを出て一人暮らしすることを渇望していた頃を思い出す。
 両親は、ここよりも田舎の出で、いまだに昭和時代を生きているような人たちだ。両親に対してあまり恨みの気持ちはないけれど、私がやりたいと思ったこと全てに対して全否定をしてきたことにははっきりと恨んでいる。私が着たい服を選ぼうとすれば、女の子なのに、太っていて似合わないから、ブサイクのくせに何を言っている、と店員の前で罵った。絵が描くのが好きで、高校や大学で美術をやりたいと言ったら、そんなお金はないと言われ、奨学金の話をしても進学を許されなかった。絵を描いていたPCや画材を取り上げられたりもした。だったらと高校は進学校にと準備していたら、大学に行って何をするつもりだ、大学なんて遊びにいく場所だ、と親族会議になった。合格した東京の大学には行かせてもらえなかった。大学院へ行くと言ったらそれこそ大反対だった。そんなことをしたら結婚すらできないと嘆かれた。両親(特に母親)の理想は、私が人並みに結婚し、人並みに幸せになることだった。私の実家時代は、そんな両親(特に母親)との戦いの日々で、結局私は、勉強以外の好きなもの、得意なものを追い求めることについて何一つ許されないのだった。勉強して就職すること以外のすべては遊びで、遊びは当然許されない。そんなところで暮らしていたのだと思う。だから私はここから出たかったのだ。

 いろいろなものを許されていなかったと言ったけれど、それに気付いたのは家を出てからだったなと思う。無理に高い家賃を払ってでも買いたかった自由の中でようやく気づけたし、友人知人のご両親の話を聞いたりして、ああウチって多数派ではないのだなと思うようになった。実家に帰省するたび、私が私のお金でやることに対しても両親(特に母親)が口を出してくるようになって、両親がが私のやりたいことを反対していたのはお金の問題じゃなかったのだと改めて気付いたりした。自分が束縛されていたのだと知った時は恐ろしかったし、私はすでに多くの時間を失い大人になっていた。

 元旦の食事は「適当に餅でも食べといて」だった。我が家はほとんど年中行事という概念がない。いつ結婚するのだという圧を受けながら食事をした。同じく帰省している同居人からは蟹と和牛で蟹すきをしているという連絡が来ていた。いろんな家があるものだなと思う。まあ、みんな家をめぐるあれこれはあるよね。


1月2日

 元旦も終わり、今日は名古屋に帰ろうかと思っている。母が掃除しておいたよと言った私の詰所のような部屋は、机に荷物を置いた途端に埃がきらきらと舞うほどに掃除がされておらず、私のカビ・ダニアレルギーが悪化して日に日に元気がなくなっていた。単純に娯楽がないからかもしれないが。この年末年始の間にやろうとしていたことがあったけれど、結局その3割も消化できていない気がする。大掃除をして帰省できただけでも御の字かもしれない。ネトフリやアマプラのマイリスト消化もできなかったし、1月末締め切りの短歌の作成もそんなに捗らなかった。絵もあまり描けなかったし、仕事の勉強も進まなかった。ただアレルギーの症状にゴホゴホしていただけだった。一刻も早くここから出ていきたい、それ以外の感情が消えていた。結局妹は体調不良だと言い張って帰省することはなかった。

 夕方ごろに出て、名古屋に帰ってきたのが19時前。部屋に入った瞬間、最高の我が家に疲れが吹き飛んだ。自分たちのために自分たちが好きなものしか置いていない整った空間だから、居心地は最高なのは当然なんだけれど、この時の感動はひとしおだ。すぐさま観葉植物たちに水をやり、夜ご飯に餅を焼いて食べた。同居人も今日帰ってくるらしい。帰ってきたら辞めなければいけないお絵描きをした。90分くらい。もうちょっと髪を描き込みたかった。

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 帰ってきた同居人と、紅白の藤井風がいかに素晴らしかったかをひとしきり話して、2022年の聴き初めとして藤井風のレコードを聴いた。盤面が透明できれい。年越し前に奇跡的に定価で入手できた未使用品だ。レコード発売後に人気が出てしまったこともあり、レコードは入手困難、価格高騰。お願いだから公式には再プレスを期待したい。

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1月3日

 世間的には正月休み最終日。だけどふたりとも明日も休暇にしている。だからまだまだ余裕の朝。コーヒーと、同居人が実家でもらってきたシュトーレンでいつも通りの朝をやりながら藤井風の年始の配信動画を観ていた。本当にリハも何もしていない無計画な配信で笑った。アーカイブが残っているので未見の人はぜひぜひ。

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 その後は新年の買い出しへ。近所のアピタへ行き、食料を買った。年始のスーパーが混雑しすぎて、人混み嫌いの人間が訪れていい場所ではなかった。KALDIの方が空いている。殺意を押し殺し、理性があるうちに買い物を終えた。帰りにサーティーワンへ行くとアイスケーキの在庫があったから一つ購入。明日は同居人の誕生日だから、毎年大好物のアイスケーキでお祝いしているのだ。今年は品薄説があったからラッキーだった。

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 新年がはじまったから、新しいカレンダーを設置。今年はtukifuneさんのカレンダー。一年が月毎に区分されず連綿と繋がっている珍しい形式のカレンダー。まだ一年は始まったばかりで途方がなく感じた。今年は仕事はほどほどに自分を守りながら生きていきたいけどどうだろうか。あまり自信がない。死なない程度に唯我独尊で頑張りたいと思います。