高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

岐路

 土曜日。日記を書くのが追いついていない。一周回って開き直ってきたから、時間のある時にしれっとアップしとこうと思う。どうせ大したことない日々ですし。しれっとあげたって誰も気に留めない。

 朝が奇跡の快晴。この1週間ほどずっとずっと雨だったから、人としての尊厳が危うくなりそうなくらいに洗濯物が溜まっている。このままいくと履く下着が無くなるんじゃないかと思っていたところ。ようやく待望の晴れ間がやってきて、朝から4回洗濯機を回した。家中のハンガーを使って全ての洗濯物を干した。ツイッターランドを覗いてみるとあらゆる人が洗濯をやっている朝だった。なんか変な感じ。みんなこの国に生きているのだな。届いたばかりのスピッツインディゴ地平線』のレコードを聴きながら、ついでにキッチンを磨いたり風呂掃除をしたりして、同居人と二人でよく働いた。レコードは透明のオレンジ、収録曲「夕陽が笑う、君も笑う」を彷彿とさせる色だ。普通の黒いレコードを使った方が低コストだろうから、圧倒的こだわりを感じる。高騰しているけど手頃なものを見つけて入手できた。天下の回りものだ。

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 自分が欲しているものが売っており、かつそれが入手しづらいために安くない値段であるとき、どうしても買うべきか悩む。ただ、欲しいと思うときに買わないと買えないということを最近ではよく実感する。推しは推せるときに推さないといけないのだ。
 昨日ニュースでラデュレという、化粧品が終了することを知った。私はユーザーではないけれど、化粧品を使う人にとってはおそらくほぼ確実に知っているか、あるいは見たことがあると言っても差し支えがない有名な化粧品だ。高価であることでも知られる。それが撤退するというのは衝撃的だった。いつか買おう、余裕ができたら買おうと思っていたら、もう手に入らなくなることもある。欲しいと思ったときに多少無理することも必要だ。そんな気持ちで、ええい!と買った美しいオレンジ色のレコードだ。

 ところで、掃除をサボりにサボったキッチンは汚い。人としての業を感じさせる。人間は生きているだけで汚いのだな。風呂場も悲しくなるくらい髪の毛が落ちている。排水溝のネットなんて目も当てられない。生きていることに悲しくなった。

 夕方から高校時代の友人らと地元で飯。コロナ禍でいつぶりか分からないくらいだ。1年前に買った、研究者の恋人と同棲を始めた友人への引越し祝い(うつわ)をクローゼットから掘り起こし持参する。赤池駅まで同居人が送ってくれ、そこから名鉄豊田線豊田市駅(終点)まで向かう。何もない地元だ。地元といっても私は市の辺境の山奥出身だから、市街地を地元と言うには気が引けるが。

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 今日はピザ屋で飯となった。ピザよりも長いカプレーゼを注文したらめちゃくちゃ美味しくて本末転倒になるところからスタートした。近況報告。友人(既婚)は駅近にマンションを買ったらしい。最上階角部屋。風呂は自動洗浄が付いており、洗わなくていいらしい。住む世界が違う。3月に恋人と熱海旅行に行った友人は、そこでプロポーズされたものの、このまま結婚してよいか判断に迷い、回答を保留しているらしい。保留ったって、もう7月だが? さすがにお相手が気の毒になる。友人が言うには、相手が結婚だけをゴールに見据えており、共働き希望なのに友人に家事全てを期待している感じが無理だという。お互いに実家暮らしで自活の経験がないから尚更らしい。とりあえずウィークリーマンションで試しに生活してみたら?とみんなで念押ししておいた。好きといっても他人は他人で、他人と四六時中一緒にいるというのは多かれ少なかれ苦痛を伴う。それをお互いに受け入れ解決できないと生活は地獄だ。人生は難しい。

 研究者と付き合っている友人は、相手の任期が来年度で切れるから就活真っ最中で、その結果が出ない限り先へは進めないらしい。先へ、というのは結婚とかそういうことだ。若手の研究者は期限付きの有期雇用を繰り返して最終的に任期なしの正規ポストを目指すのが既定路線で、30代でも非常勤は普通の話だ。そもそもの雇用の受け皿がとんでもなく少ないのだ。私は文系院生時代、正規雇用につけない現状に不安を感じて研究者の道を諦めたけれど、理系でもそんな感じではこの国ほんと大丈夫か?の気持ち。でも友人としては、仮にお相手が就活失敗しても、支えていく覚悟はできているらしいから男前だ。

 私のところは、これからどうなっていくのだろうな。きっとこの先も今の恋人といるのだろうし、相手もそのつもりらしいけれど、具体的な話はしていない。私は結婚がしたいとか子供がほしいとか、そういうゴールがあるわけではなく、同居人と一緒にいたいだけだから何でもいいのだ。結果は後からついてくるだろう。現時点では誰でもいいわけではない。(同居人からLINEで、イオンのフードコートでステーキ食べてるよ!と肉の写真付きで送られてきた。どこまでも平和な人だと思う。)

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 ともあれ友人たちはみな人生の岐路に差し掛かっているようだ。みんなそういう年齢になったということなのだろう。高校卒業してからなんだっけ?と指折り数えて血の気が引いたりもした。このままだとぼーっとしている間に老いて死んでしまいそうだ。

 それからお金の話にもなった。お金の話をするあたり歳だなと思う。貯金どうしてる、とか、NISAやイデコやっている?とか。フルタイム共働きで毎日9時とか10時に返ってきて家のことして、ふたりで生活するのだってしんどいのにこれで子供がいたりしたらどうなるか分からないみたいな途方もない話にもなった。みんな私と同じ進学校出身で、それなりの仕事に就いているのだ。それでこんなに毎日がしんどいとなると、もっとしんどい人がたくさんいる計算になる。自分たちの親が過ごした世の中とは全く字違うものになっている。亡国に生きているのかもしれない。