高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

弱った格安ビカクシダをいい感じに育てたい

 ディープなほうの園芸にハマると避けて通れないのがビカクシダ(コウモリラン)だ。ビカクシダというと「なんか板に取り付けて壁に飾る高価なよくわからない草(?)」みたいなイメージがあるんだろうけれど、最近ではその辺のホームセンターでも1,000円以下で売られるくらい普及してきた。特に「ネザーランド」と呼ばれる品種は普及種で、ビカクシダが札落ち(品種名が書かれていない状態)で売られている場合は大体ネザーランド系だと思う。板付されていない苗の状態だとさらにお安い。安価で購入できるため入門者にピッタリだと勝手に思っている。
 ということで、在庫処分セールで700円くらいで買った若干弱ったビカクシダを買ったため、家でどこまで育てられるか実験してみることにした。最近はビカクシダの調子がよいので、ここに記録を残しておこうと思う。(ちなみにこのビカク苔玉を解体してみると、苔の下からポットの形に形状維持したカチカチの土が出てきて、根もほぐれておらず詰まっていた。葉もへたっていて相当雑に苔玉にされたものと思われる。)

 生育環境

 ビカクの育て方は鉢植えのまま育てたり、苔玉で育てることもできるが、せっかくなので板付けをした。用意するのは板、テグス、水苔、ワイヤー。大型の100円ショップで全て調達できた。(※板には穴をあける必要があるから、別途電動ドリルとかも用意が必要。)具体的な板付けの方法はネットでもたくさん出てくるし、YouTubeで解説動画もあるから初心者にとてもやさしい。解説記事や動画がたくさんありすぎて分からないという人は、とりあえず杉山拓巳さんの動画を見れば確実。杉山拓巳さんはこの手の植物が好きな人なら知らない人はいないくらいの先駆者で、膨大な実験結果をもとによりよい方法を的確に説明してくれる。インスタライブ等で質問を受け付けてリアルタイムで答えてくれる等、サービス精神旺盛な方だ。

 「マツコの知らない世界」に出演したのも納得の濃いキャラクターにはじめは戸惑うけれど、慣れる。明瞭に説明していただけるからわかりやすくて助かっている。著作もあるからおすすめです。そんなこんなで、解説にならいビカクシダの板付完了。その際、枯れてよれよれの余分な葉は取ってしまった。これをベランダの洗濯竿に吊り下げて育てる。ベランダは朝の数時間は直射日光に当たり、その後は明るい日陰になるような環境。

(左:6月20日撮影、右:7月9日撮影。2週間で貯水葉の伸びがすさまじい。)

 同居人のこだわりで丸い板(ニトリのカッティングボード)にしたが、めちゃくちゃ板付しにくいのでお勧めしない。

 水やりについて

 ビカクシダの水やりイメージとして「月に1日水に沈めるだけでいいんでしょ」的なものがあるけれど、さすがにそんなことはないようで、水苔の渇きに合わせてこまめに水をやる必要があった。特に夏は朝だけの水やりだと、翌朝には水苔がぱりぱりに乾いて水をはじくほどになってしまう。そのため、

・毎朝じょうろで水苔に水遣り
・夕方~夜に霧吹きで葉と水苔を濡らす
・週に一回、灌水をする

というサイクルで水やりをした。ただし雨やくもりが続く時期には水苔の様子を見つつ水やりを少なくしたりもした。室内で育てる場合はもっと頻度が少なくなるのだろうと思う。

 肥料等について

 灌水時には肥料等を希釈した水にしている。水苔栽培のため、水苔自体に肥料分はない。春~秋は、週1回の活力剤、月1~2回の液体肥料(夏は頻度低め)を規定量与えている。肥料等は無くても用土に元肥が含まれていれば充分に育つけれど、与えたほうが健康的に育ち、葉の色もよくなると感じる。この辺りはいくらでもお金を掛けられるけれど、あくまで格安ビカクだから家にあるものを与えている。

    
(使用している肥料等。いつもお世話になっています。)

 現在の様子


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(左:7月9日撮影、右:9月1日撮影。)

 そんなふうにして世話をしたビカクもあれから何重にも貯水葉が出てきて水苔を完全に覆ってしまうまでになった(そろそろ板付しなおさなきゃな、と思う)。胞子葉もいくつか枯れて生え変わっている。夏はかなり強い直射日光が当たっていたから大丈夫かと心配したけど杞憂だったようで、しっかり育ってくれた。さすがは普及種なだけあって丈夫だ。今後は寒くなり、いつまでもベランダ放置というわけにもいかないから、あれこれ考えなきゃと思っている。ともあれ入門者にはいい品種だなと思いました。

 

(先述した杉山さんのビカク本。信頼のNHK。お世話になっております。)