高等遊民前夜

日記と考え事・雑感のログ

お顔の話

 土曜日。恋人と地下鉄栄駅で降りて街をぶらぶらした。
栄というのは名古屋市内の繁華街のことで、ある意味では名古屋駅エリアよりも人気のある便利な場所だ。例えると、新大阪よりも梅田の方が便利みたいな、そんな感じ。東京での上手い例えは知らない。

 街を歩いていると、すれ違いざまに恋人の顔を見る女の子がよくいる。恋人は、私情抜きにいって、割と顔がいい。
 顔がいいというのは、世間一般にいってルックスが優れているということだ。誰が見ても「イケメンだね」と言わせるような顔面をしている。実際、恋人と対面で会ったことがある友人たちは、口をそろえて「イケメンだね」と言うのだった。その隣にいるのは、悪口以外ではルックスに触れられることすらない私。そんな人物と平々凡々な顔面の私が一緒にいるのは、私でも不思議なもんだと思う。

恋人は恋人で、そういった視線を煩わしく思っているようだ。
高校時代は、仲良くもない女の子たちに囲まれ、自分のメールアドレスが勝手に広まっていた。職場の新人研修で講師として話せば休み、時間に女性社員に囲まれ黄色い声を浴びた。取引先に訪問すれば、女性たちからお菓子やらごはんやらを与えられ、挙句の果てには金一封まで渡されそうになった。
恋人の口から出てくる、顔面で損したエピソードはたくさんある。人によってはうらやましいエピソードなのだろうが、どうにもそれがひどく疎ましいらしい。ルックスが秀でておらず、顔面にコンプレックスしかない私には遠い遠い知らない世界で、毎回驚かされるばかりだ。

 恋人、普段はのんびりとしているけれど、それなりに大変な思いをしてきたのかもしれないなと思う。私にとって恋人は、おおらかで、のんびりしていて、美味しいものを食べることとたくさん寝ることが大好きな、小学五年生みたいな中身の、普通の成人男性だ。偶然、ご両親にもらった美しい顔面を持っているけれど、それは折に触れて思い出すくらいで、私の感情には影響を与えない。愛着があるから好きな顔だと言えるけど、顔だけの情報で付き合えるかと言われたら、それはない。その顔にキャーキャー言ってもてはやすことは残念ながら今後もないから、安心してほしい。

 今日は日差しが強く陰が色濃い。街路樹の根元に毎年なぜか咲く鼻がかわいい帰り道。でもこの花も花粉を飛ばしたりするのかなと思うとおそろしい。

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 昼。買って帰った明太バターパンとライ麦パンみたいなのにカマンベールチーズを挟んだパン。おいしかった。パン屋は人気店らしく、外で20分くらい待ってやっと入店できた。そして20分待つだけあって美味しいのだった。(それだけ待ったから余計そう感じるのかもしれない。)食べ終わると、暑さにやられたからか頭がズキズキ痛みだした。水を飲んで少し眠った。 

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