日曜日。8時くらいに起きて、お絵描きしたら本を読んだりポケモンスナップをやったりして模範的休日の始まりを体現してみた。早起きをすればするほど1日が長くなってよい。私は健康診断で「いつもこんな血圧ですか?」と言われる病的な低血圧だけれど、早起きは苦手ではない。(睡眠が少なくても平気という感覚に近い。)この体質に人生の要所で救われてきたから感謝している。テスト勉強の一夜漬けとか。
11時ごろに同居人起床。昨日一玉200円で買った桃を買って食べる。美味しい。缶詰のシロップに浸かった桃と違って、食べた時に口の中に謎のえぐみが残ってだからこそ美味しい。桃を食べると、スピッツの桃を聴きたくなるな。
桃を剥いていると、母親が桃の剥き方を知らず、りんごと同じ様に剥こうとしてベチャベチャになっていたのをいつも思い出す。母親の母親、つまり私からすると祖母も料理のできない人だったらしく、私の母もそれをしっかり受け継いでいた。母は料理にてんで疎くて、塩と胡椒と醤油以外の味付けをしなかった。そんな人だった。これがピエール・ブルデューのいう文化資本の典型だよなと思う。育った境遇に依存する習慣や知識。
私が文化資本として獲得するのに苦労したものは沢山ある。その一つは美容という概念だった。私の母は、全くと言っていいほど美容に無縁な生活をしていた。洗顔もしなければスキンケアもしない、化粧もしない。水道水で顔を洗って拭いて終わりだった。そんな空間で暮らしてきたから、私も妹も美容にまったく無縁に過ごした。テレビ番組などで美容という考え方があること自体は知っていたけれど、それは本当に美容が好きな人たちの特殊な生き方であり、その他大勢の人には無縁のものだと当然思っていた。
母はそれでよかったのかもしれないけれど、私は幼少期からすでに肌が弱く、思春期になるとひどく肌が荒れた。夏は顔じゅうニキビだらけになり、冬はガサガサに乾燥した。顔だけじゃなくて、体も汗疹や湿疹だらけで、常に痒みや痛みと闘っていた記憶。でも母にはそもそもスキンケアをするという概念自体がないものだから、どうすればいいのか分からず、肌に刺激の強い洗顔料を買い与えられて、さらに悪化したりもした。見かねた友人たちが、「使っている洗顔料が合ってないんじゃない?」と教えてくれなかったら、いつまでも気づかなかったかもしれない。当時はネットがそんなに便利じゃなかったから余計にだ。この時点でようやく私は、母は美容をあえてしないのではなく、そもそも美容が分からないのだ、と気づいた。友人たちにとってお手入れが至極当然だったということにも。
一緒に暮らしている同居人は肌がとてつもなく綺麗だ。顔から爪先まで綺麗で、肌が荒れてもすぐに元通りになってしまう。聞くと、同居人の実家では肌の手入れは当然のことで、スキンケア文化自体が子供の頃からあったらしい。そんな空間で育ってきた同居人は、生活の中に肌をお手入れすることが色濃く染み付いている。だからそもそもお手入れをしないという概念が存在しないのだった。これがつまり文化資本で、本人の思想とか好みとかに関係なく、生まれた境遇そのものに大きく左右されるのだ。こういったものには良いものと悪いものが当然あるけれど、この習慣については完全に羨ましかった。おそらく私の両親も、同居人の両親も、意図してその習慣を子に教えたわけではない。無意識の習慣が当然のものとして子に受け継がれていく恐ろしさを思った。
その後に試行錯誤で自分の肌に合うものを見つけた思春期の私は、なんとか人の形を保てるようになった。とはいえ、大人になった今、小中学校で痛めつけられた肌は今でもマシになったとはいえ、綺麗とはいえないものだ。皮膚科では、完全に綺麗にするのはレーザーでもしない限りは無理だと言われている。もし私の家に肌をお手入れする習慣があったら、と思わずには言われないけれど、くよくよ言っても仕方ないので、日々ベストを尽くせるように頑張ろうと思う。
昼過ぎ。冷蔵庫が空っぽ。買い出しに出る。久々に最高のTシャツを着た。ひとりぼっちのスイミーTシャツ。スイミーのグッズはどうしても魚が集まって大きな魚になるシーンがあしらわれたものが多いけれど、これは珍しく物語序盤のさみしいスイミーのものだ。何年も前にレオ・レオニ展で見つけて感動して衝動買いしたもの。
痩せたい。痩せたいと言いつつ、途中でケンタッキーに寄ってハンバーガーを食べた。後悔はない。正直、数値的には痩せなくていいから、程よく筋肉をつけてシルエット的に痩せたい。筋肉を落とさずに痩せるって難しいな。
帰宅してサービスリモートワーク。完全に終わりが見えない。高ければ高い壁のほうが登った時気持ちいいもんなマインドで、私の中の桜井和寿が鼓舞するなか頑張る。ベストの骨版はまごうことなき名盤。
夜ご飯。餃子。アスパラと大葉チーズの豚バラ巻き。サラダ。スタミナ飯。夏バテ気味だから気張っていきたいところ。
0時過ぎに就寝。
(スピッツのさざなみCDはベストアルバムよるベストだから聴いてほしい)